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PFAS基準値が変わる?!その背景と私たちの健康への影響

2024.06.17

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PFASとは何か

PFAS(ピーファス) とは、Per- and PolyFuoroAlkyl Substancesの略であり、日本語では「パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質」と呼ばれる物です。
これらは非常に安定した化学物質で、環境中で分解されにくい特性を持っています。
PFASには、PFOS(ピーフォス) 、PFOA(ピーフォア) 、PFHxS (ピーエフヘキサエス)などの種類があり、それぞれが異なる特性と利用用途を持っています。
これらの化合物は、環境や生物体内に蓄積する性質を持っており、健康への影響が懸念されています。

PFASの利用用途

PFASは、その優れた耐熱性や耐薬品性、撥水・撥油性から、多岐にわたる用途で使用されています。
例えば、防水・防油加工が求められる衣類や食品包装、調理器具のコーティング、消火泡などが主な用途です。
また、電子機器や自動車部品の製造にも利用されていて、その汎用性の高さが特徴です。
しかし、その一方で、これらの製品が廃棄される過程で環境中に放出され、持続的な環境汚染を引き起こすことが問題となっています。

現在のPFAS基準値とその変動

ここでは、世界各国と日本における現在のPFAS基準値とその変動について説明します。
PFAS(有機フッ素化合物)は環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積する性質があるため、その基準値の設定や変更が注目されています。

世界各国の基準値

各国では、PFASの環境および健康への影響を考慮し、基準値を設定しています。
特にPFOAやPFOSといった代表的なPFASは、がんや免疫異常、生殖・発生への影響が懸念されているため、厳格な規制が求められています。
例えば、アメリカ環境保護庁(EPA)は、飲料水中のPFOAとPFOSの基準値を1リットル当たり4ナノグラム以下とする基準値を設定しています。
欧州連合(EU)でも厳重な基準があり、各国がそれぞれの地域事情に応じて具体的な規制値を設けています。

日本の基準値とその変遷

日本においても、PFASの規制は進展しています。
環境基本法に基づき、PFOSとPFOAは指定化学物質として指定されており、水道水中のPFOSとPFOAの合算値を50ナノグラム以下とする暫定目標値が設定されています。

しかし、近年の研究により、より低い濃度でも健康への影響が示唆されていることから、基準値の見直しが議論されています。
実際、一部の地域では水道水からPFASが検出されていますが、規制基準を超えることは稀であり、一般的には安全な水が提供されています。

基準値が変わる背景

このように、厳格な基準によって管理されているPFASですが、最近その基準を見直す動きが出てきています。
なぜそのような動きがあるのでしょうか。

健康への懸念

PFASは、その安定性から多くの産業で利用されていますが、分解されにくく環境や人体内に蓄積する性質があります。
このため、長期的な健康リスクが非常に懸念されています。
特に、がんや免疫系の異常、生殖への影響といった深刻な健康影響が報告されています。
これらの理由から、PFASの基準値を見直す動きが進んでおり、より安全な水質管理が求められています。

最近の研究結果

近年の研究により、PFASが健康に与える影響がさらに明らかになってきました。
例えば、水道水中のPFASの長期摂取が、血中コレステロール値の上昇や肝機能障害を引き起こす可能性があることが示されています。
また、新しい検査方法や検出技術の進歩により、微量のPFASも検出可能となり、安全基準の見直しが必要とされています。
これらの研究結果は、各国の規制当局が基準を厳格化する一因となっています。

PFAS汚染対策の動向

それでは現在PFASによる汚染から守るために、どのような対策がされているのでしょうか。

各国の規制強化

世界各国で、PFAS汚染に対する規制が強化されつつあります。
例えば、PFOSやPFOAはストックホルム条約に基づき国際的に制限されており、使用や製造が厳しく規制されているのです。
アメリカや欧州連合(EU)では、PFASの排出削減や水質管理、検出のための厳しい基準が設定されており、これらの国々は水道水中のPFAS濃度を積極的にモニタリングしています。

日本の対応策

日本においても、PFAS汚染対策が急務となっています。
現在、日本では環境基本法に基づき、PFOSやPFOAが指定化学物質として制限されています。
水道水中のPFOSとPFOAの合算値については、暫定目標値として50ナノグラム以下が設定されており、各地で水道水の検査が行われています。
これまでの検査結果によれば、一部の地域でPFASが検出されていますが、規制基準を超えるような高濃度の検出は稀であり、一般的には安全とされています。

さらに、日本ではPFASの環境への排出削減のための対策が進められており、浄水施設の処理能力の向上や取水地の管理強化が求められています。
また、廃棄物の処理についても厳重な管理が行われ、環境中へのPFASの影響を最小限に抑えるための取り組みが展開されています。

今後の見通しと対応

PFAS汚染から守るために我々ができることは何があるのでしょうか。
そして将来的にはどのようになっていくのでしょう。

消費者として出来ること

消費者として、PFASへの対策を講じる方法はいくつかあります。
まず、浄水器を使用することが挙げられます。
家の水道水に浄水器を取り付けることで、PFASを効果的に除去し、より安全な水を使用できます。

また、定期的に提供される水道水の品質報告書を確認し、PFASの検出状況について把握しておくことも重要です。
さらに、ペットボトル飲料水やウォーターサーバーを利用する場合は、製造元がPFAS検査を行っている信頼できる製品を選ぶと良いでしょう。
これらの取り組みを通じて、健康リスクを最小限に抑えることが可能です。

将来の研究と規制の方向性

今後の研究においては、PFASが健康に及ぼす影響についてさらに詳細なデータが収集されることが期待されています。
特に、長期的な影響や低濃度での影響を明らかにするための研究が重要です。
これにより、より厳格で科学的根拠に基づいた基準が設定されるでしょう。

また、各国の規制強化も進むと考えられます。
日本を含む多くの国々では、既にPFOSやPFOAに対する規制が設けられていますが、他のPFAS化合物についても新たな規制が導入される可能性があります。

これに伴い、企業や自治体は環境中への排出削減や水質管理、廃棄物処理などの対策をより一層強化する必要があります。
消費者としても、最新の研究結果や規制動向を注視し、適切な対応をとることが求められます。

まとめ

PFASは非常に安定した化学物質で、環境中で分解されにくく生物体内に蓄積します。
そのため健康への影響が懸念されています。
がんや免疫異常などの健康リスクがあるため、世界各国で基準が設けられ、PFAS汚染に対する規制が強化されています。

私たちは消費者として浄水器、ペットボトル飲料水やウォーターサーバーの使用などでPFAS汚染のリスクを抑えることができます。

研究も盛んに行われていますので、最新情報に注視し、対応することが必要です。

宮崎 寿治

執筆監修

宮崎 寿治

ResetTimeのほか、かぞく想いの天然水、純天然アルカリ保存水の担当として営業活動を執り行うかたわら、日々知識をアップデートすべく勉強中。独自の切り口から様々な情報を取り入れ、そこで得た知識を基に記事の監修を行う。得意分野は保存水。

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